僕とクラシック音楽とCD夜話(6)-レコードショップ
《レコードショップ》
30年間前は、街のレコードショップも元気だった。
本屋さんと同様に再販制度に守られたレコード店は当時街にあふれていた。
しかし、僕の住んでいた地方の県庁所在地に、クラシックの新譜(レコード芸術に紹介されるようなメジャーレーベルの国内盤)を入荷しているのは”D堂本店”一店舗しかなかった。
高校生の頃は、毎月月初に小遣いを握りしめて、店内をうろうろしながら新らしく入荷したアルバムだけでなく在庫を全てチェックした。至極の時間がそこにあった。
レコード芸術などで新譜はチェックしていくのだが、新譜を買うか既存盤を買うか”ああでもない、こうでもない”と考えを巡らせて、やがて意を決するとLPを抱かえてレジへ向かうのだ。
ワイセンベルク(P)カラヤン指揮ベルリンフィル ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 1972年盤(当時はEMI)
その頃、買った一枚。ワイセンベルクの華麗な演奏をカラヤンががっちりサポートしてラフマニノフの繊細さと濃厚さを絶妙なバランスで聴かせます。
今では街のレコード店は消えてしまった。郊外のショッピングモールなどにローカルのチェーン店か小さなタワーレコードの店舗があるだけだ。しかも、クラシックコーナーはどこも申し訳程度の広さだ。
しかし、今はネット通販が発達し、Webで輸入盤が購入出来る。輸入盤クラシックは安価でラインナップも豊富であり、しかもネットでは様々な検索が可能だ。
今ではレコード店を訪ねることはほとんど無くなった。
僕のHMVアカウントによると累積購入額は190万円を超えた。
しかし、ここにはあの頃感じた至極の時間や空間はない。
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